抗酸化・機能研究会は、食品の抗酸化、機能研究に関する産学官連携を推進することを目的としています。
Antioxidant Unit設定の経緯
Antioxidant Unitの定義
TOP >> Antioxidant Unitとは
Antioxidant Unitは食品の抗酸化力に対する統一した指標です。
食品の抗酸化物質の分析法としてはこれまでに様々報告されていますが、どれも一長一短があり、統一又は公定法化(分析値の妥当性確認)された方法はありません。
ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity:活性酸素吸収能力)は、1992年に米国農務省(USDA)と国立老化研究所(National Institute on Aging) の研究者らによって開発された抗酸化能指標の一つで、米国内では既にORAC値を表記したサプリメントや飲料が上市されています。
このような状況から、本研究会の目的である食品の抗酸化力に対する統一した指標の確立を目指し、 まずORAC分析法の公定法化(分析値の妥当性確認)の研究、ORAC分析法とこれまでに報告のある他の分析法(DPPHやFRAPなど)との相関性の研究を行いました。
その結果、文献より参照されたORAC分析法は分析精度が低いこと、カロテノイド系抗酸化物質(β−カロテンのような化合物)の抗酸化能を評価できないこと、また他の分析法の比較では相関性が無いことが明らかとなりました。
このため、AOU研究会では、米国の状況からORAC分析法を食品の抗酸化能指標として利用するための分析法の改良を行い、確立致しました。また、ORAC分析法で評価できないカロテノイド系抗酸化物質も、緑黄色野菜に多く含まれる抗酸化物質であるため、この分析法としてSOAC(Singlet Oxygen Absorbance Capacity)を確立致しました。
AOU-PとAOU-C
AOU研究会では、主にポリフェノール系抗酸化物質の分析値をAOU-P、AOU-Pで評価できない主にカロテノイド系抗酸化物質の分析値をAOU-Cとし、AOU-PとAOU-Cの和をAOUとして、この値を食品の抗酸化力に対する統一した指標としました。
AOU = AOU-P + AOU-C
分析法
1.
AOU-P 高い分析精度を得るため、改良されたORAC分析法を用います。 標準物質としてTrolox(ビタミンE様物質)を用います。
AOU-P = H-ORAC + L-ORAC
2.
AOU-C SOAC分析法を用います。 標準物質としてα-tocopherol(ビタミンE)を用います
AOU-C = SOAC
Q1.
AOUとは?
A1.
食品の抗酸化力を評価した指標です。 生体内での抗酸化力とは関係ありません。
Q2.
AOUの目安量は?
A2.
目安量は現在のところありません。AOUの摂取量と科学的根拠に基づいた健康増進に関する知見は、今後の検討課題です。
Q3.
AOUの取り方は?
A3.
野菜や果物をバランス良く食べることで、摂取可能です。 高AOUを示すサプリメントを限定して摂取することは特定物質の過剰摂取となり、健康に悪影響を与えかねません。 あくまでバランスの取れた食生活の中で摂取することが大切です。